去年よりも、子どもの貧困は少し解消されたとする報告を耳にしました。多少の数値は上がったかもしれませんが、大きく改善したとは思えません。0になるまで、対策をとってほしいと思います。
私は、長いあいだ教師を続けてきて、多くの子どもたちを見てきました。今日は、その一例をお話しします。
以前、ある児童館の館長さんから聞いた話では、夏休みには昼間休館にしないと、職員が昼食を取れないということでした。
給食のない夏休みは、貧困家庭に育つ子どもにはとって、食べられない問題が重くのしかかります。彼らは朝から児童館に遊びに行き、一日中をそこで過ごすのです。昼ご飯を食べに帰ることはありません。帰っても食べ物がないからです。
昼ご飯を食べない子どもを見ながら、大人がご飯を食べられないと昼休みをつくったところ、昼ご飯を食べられない子どもたちは、近所の公園で時間を潰し、また児童館に戻ってくるとのことでした。
暑い昼間の時間帯に、公園で時間を潰す子どもの気持ちを考えると、胸が押しつぶされそうになります。
もうひとつの例です。その子どもも、夏休みは昼ご飯が食べられないというので、地域の子ども食堂に世話になったと言っていました。しかし、その食堂は月に一度しか開かれません。それで、地域の方から寄付されたとうもろこしを数本もらってきて、それで一週間くらいを過ごしたそうです。
彼らは、昼ご飯だけが食べられないのではありません。朝ご飯も夕飯も、必ずありつけるとは限らないのです。
別の子どもの家では、まだオムツをしているような赤ちゃんを保育園にも預けずにいたので、お腹をすかせた赤ちゃんが、手当たり次第に食べていたという話を聞きました。小学生が、赤ちゃんを世話するために学校を休むという例は、よく耳にすることです。
また、長い夏休みが近づいてきました。給食があれば、少なくとも一日一食を保障できるのにと思うと、やれることはないかと考えてしまいます。