授業中は、教師が話すことを聞いて子どもが反応する、その反応に対して教師が話を進めるといったことの繰り返しです。
その様子は、まるで波が寄せたり引いたりするように見えますし、息を吸ったり吐いたりするようにも感じます。
この流れが円滑に行われるときに、「呼吸が合う」と表現されることがあります。
呼吸が合う授業ができると、子どもたちの満足感も高まり、学習の成果も上がります。
以前私は、不登校の子どもたちのための学校で、6年生を担任しました。
出会った頃は、授業らしい授業ができず悩んだことも多々ありました。
しかし、信頼関係を築く地道な取り組みを続ける中で呼吸が合うようになり、子どもたちが授業に向かう姿勢も見違えるようになってきたという思い出があります。
ただ、呼吸を合わせるような授業を組み立てることは、簡単なことではありません。
授業中における暗黙のルールが守られないと、呼吸を合わせることは難しくなってしまうのです。
例えば、授業中は勝手な発言をする時間は限られており、たいていの場合は挙手をして指名されてから発言するのが一般的でが、クラスの中には唐突に話し始めてしまう子どもがいます。
次は自分が発言しようと意欲的になっている子どもたちを遮るように、いきなり解答を叫ばれるような場面が繰り返されると、授業の雰囲気が悪化しかねません。
また、こだわりが強く、自分だけが注目されたいと思う子どももいます。
そういった子どもの自己肯定感を高めるために、最初に指名して答えてもらうような努力をしたとしても、次も自分が答えたいという衝動を止めるのは難しいようです。
「ルールを知らないから守れない」ということではなくて、子どもたちの特性からの衝動的な言動を改善していくには、時間もかかりますし、教師の粘り強さも必要になります。
信頼関係を築くことを目標にしながら、周囲の子どもたちの不満に配慮しつつ、授業の仕方を工夫していってほしいと思います。