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202109/24
授業について「それぞれのルートを探って頂上をめざす」

授業というのは、小高い丘のゴール地点に向かって麓から歩いていくようなイメージです。
ゴールというのが、その授業の「めあて」になるのです。
麓の出発点からスタートして、自分なりのルートを見つけて登っていくという感じです。

授業の初めに、自分が受け持つ子どもたちが、スタートラインに立っているのかどうかを確認しましょう。
「めあて」を理解し課題に取り組もうとする意欲はもちろん大事ですが、学習するための予備知識や技能が身についているのかということも気にかける必要があります。

前時の授業や、それまでの学習の振り返りを行い、「ああ、そんなことを勉強してきたんだな」という思いが子どもたちの中に生まれるようにしていきましょう。

そしてスタートラインから出発したら、自分なりの登り方を尊重していきます。
道に迷ったり、前に進めないようだったりするときには支援が必要ですが、自分で登ろうとする気持ちや、それぞれ違った登り方があることを互いに認め合うことが大切です。

全員を整列させコースを限定して登らせたり、車に乗せて本人が気づく間もなく頂上に連れて行ったりしてしまうことがないように気をつけてください。

もし、そういった方法を取り、短時間で成果が上がったと思ったとしても、それはその瞬間の出来事でしかありません。
子どもの長い人生の中には、全く残らない時間になってしまうのです。
主体的に学ぶことの大切さを、絶対に忘れないでほしいのです。

さて、全員がおおむねゴールに到達したということが分かったら、登り方についてシェアします。

どんな登り方であっても間違いではないと認めた上で、どの登り方が気に入ったのか、自分でも真似をしたいと思ったのかについて考えさせましょう。
それによって、次はもっといい考えを出そうという意欲に繋がっていくからです。

授業の中で多くの子どもたちが、「あ、そうか!」「そうやっていけばいいんだ!」という思いをもつことができたら、その授業は大成功だったと思っていいと思います。
子どもは教師の説明から学ぶのではなく、自分でインスピレーションを受け取ることで学ぶのです。

そしてきっと、自ら学び取ったことは、生涯忘れることがないでしょう。
教師はその学びを保障し、生きた知識を増やしてやることに貢献していかなければならないのです。

最後にエピソードをご紹介しますので、笑っていただけたら嬉しいです。

授業中に、子どもたちの集中力がキレかけていると感じることがあります。
そんなときに、「全員が、『あ、そうか』という気持ちになれたら、授業を終わるよ」と言って、自分への集中を高めさせたことがありました。

すると子どもたちが口を揃えて、「あ、そうか」と言い返してきたのです。
これは、私と子どもたちとの信頼関係があっての出来事です。
その後、みんなで大笑いをして気分を変え、また学習に戻ったのはいうまでもありません。

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