話し方の基本的なポイントは言うまでもなく、明確な言葉ではっきりと、語尾までしっかりと声に出すことです。
投げやりな言い方ではなく、語尾をソフトに表現すると、子どもたちが緊張せずに聞き入ることができます。
そして、何かを伝えようとするときには、相手の頭の中に、くっきりとした像が浮かび上がるように、子どもであれば絵を描くことができるように話すことが大切です。
例えば、マスカットの話をするとします。
「緑色の粒をした葡萄がマスカットです」と言っても、大人なら通じるでしょう。
しかし、子どもに話すには適切ではありません。
「みなさんは、ぶどうを知っていますね。多くのブドウは紫色の粒をしています。粒の大きさは、みなさんの親指の先くらいあるでしょうか。もっと大きいかもしれませんね。それがひと房に30粒くらい、小さな粒のブドウだと100粒くらいついているそうです。そして、大きな粒のタイプの中に、薄い黄緑色の粒のブドウがあります。それがマスカットと呼ばれる種類です」
これはブドウの話ですが、授業の中では、多くの場合このようにイメージ豊かに話していく必要があります。
子どもが像を描き、それを意味あるものとして捉えることがなければ、記憶に残らないからです。
説明が長くて時間の無駄だと思うのはちょっと待ってください。
もし、知識の詰め込みのように定義だけを話していたら、その多くは記憶に残らないし、記憶を取り出すこともできないでしょう。
急がば回れのような話ですが、理解のために丁寧に伝えていくことは、後々大きな意味をもってきます。
言葉だけではイメージをもちにくいと感じたときには、適度なタイミングで視覚的な資料を見せましょう。
見ればわかるというような丁寧すぎる絵や図を示してしまうと、聞こうとする力が伸びていきませんので、十分に考えてから画像を使いましょう。
重要なのは、自分が話していることが子どもの頭の中でどのような画像を描いているのかを、話しながら察知していくことです。
自分が話すことを子どもたちが理解しているのか、どういったイメージを獲得しているのか、それをどのように使おうとしているのかについて、感覚的に理解できるような力を身につけていってほしいと思います。
そして、もし自分が意図したようなイメージを獲得していないと察知したら、言葉や説明を加える、画像資料を足すなどの対応をしていきましょう。