一年生の国語の教科書の最初は、イラストと一行ほどの文章で構成されています。文章とイラストが一体化している場合、情報量がほどよく、設問の意味を理解したり、イメージしたりすることが容易です。
しかし、道徳の教科書では、町の様子や学校の様子が描かれ、その中から「よい行い」「好ましくない行い」を選びましょうといった課題が出されていることがあります。
この場合、「ミッケ!」や「ウォーリーをさがせ!」のような感覚で、楽しく課題に取り組めるだろうという思惑があるのだろうと思います。しかし、子どもの中には、情報量が多すぎて、視点を定めにくいということがあると、特別支援学級の担任をしている友人から教えられました。
確かに、挿絵の話でも書きましたが、教師がイメージしたように課題に取り組めるとばかりは限らないのです。
情報量を制限するには、ひとつひとつの行いを、ズームアップするようなやり方ができればいいと考えていますが、今のところはデジタル化が普及しきれているとはいえません。
そこで、白い画用紙に直径5センチメートルほどの穴を開けたものでイラストを覗かせ、一つ一つの行いに注目できるようにすると簡単にできるということでした。
学校ではICTの活用が進み、デジタル教科書を使用することによって、指導の可能性が高まってきています。
とはいえ、完全に普及するまでには時間がかかるでしょう。
アナログでできる工夫を考え、情報量を制限するという考え方に立って、授業を展開していってほしいと思います。