シュタイナーは、人間の思考には2種類あると考えました。
ひとつは、情報として受け取ったものを鵜呑みにした類似的な思考、あるいは他の考えを受け入れられない杓子定規な思考、情報と記憶を駆使して組み立てる思考などの類です。
そしてもうひとつは、直観に基づく思考です。
例えば、算数の授業であったなら、計算をするのに直観の必要性は低いと思います。
しかし、平行四辺形の面積の公式から、三角形はその半分だと思いつくときには、直観が助けているかもしれません。
もちろん、どちらかを選ぶべきかといった岐路に立たされて、判断を迫られたときの思考などでは、直観が働くと大きな助けになります。
また、研究者などが毎日研究を重ねて、ある日「あ、そうか」と思うような直観から、大発見に繋がる思考を得ることもあるのです。
頭の中を流れていく画像はとめどなく、人は瞬間ごとに何かを考えています。
その全てが意識に上ることはなくても、課題をクリアしなければならないタイミングでは、集中してひとつの答えを導き出すことになります。
その際、シュタイナーは直観を得ることが大切だというのです。
シュタイナーのいう直観は、生まれる前にいた世界からの恩恵であるという考え方に基づいており、教師は子どもたちに直観を得られるような教育をすべきだといっています。
子どもたちは大きな岐路に立たされることも、人生を賭けた判断をすることも、研究の成果を出す必要性もありませんが、自分から情報を得て考えたり友達の考えから刺激を受けたり、「そうだ!」と思えるような機会をたくさん経験したりすることは必要なのです。
子どもが子どものままでいることはありません。20年後、30年後に役に立つことができる思考の仕方を身に付けさせていってほしいと思います。